検査結果は原因不明！？ 突然、一時的に記憶を失ってしまった知人の話。
２０２１年１０月。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が解除され感染者数も減少してきました。
ようやく一息ついたと思いきや、私の知人にとんでもないことが起きたのです。
突然、記憶を失ってしまったのです。
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記憶を失ったときの状況
知人は事業を営んでいますが、その日はお休みの日で、日中、夫婦で温泉にきていました。
事業はコロナの影響で大打撃をうけ厳しい財務状況であり、また従業員の雇用でも悩みを抱えていました。
コロナの感染者数が落ち着き、年末にむけて業績も上向いていくだろう、という見通しも見えてきたので、温泉にリラックスにきたのです。
ゆっくり温泉で過ごし、帰り支度をしていたとき異変が起きました。
「なんでこんなところにきてるんだ？」
知人が奥さんに質問したのです。
最初は冗談を言っているのかと思っていたのですが「お昼に何を食べたかも覚えていない」と言われ心配になります。
そこで車の運転を奥さんすることになったのですが「なんで自分が運転していないんだ？」と少し前に話したことを記憶できていないようでした。
記憶を失ってから、新しい記憶ができない、覚えていない
車で自宅に戻りますが、今日温泉に行ったことも覚えていないようでした。
子どもたちが、就職していること、大学に進学していること、も覚えていませんでした。
一方で、手足がしびれたり、呂律がまわらない、といった他の症状はありませんでした。
しかし、記憶を失っていることに不安があったので、総合病院に行くことにしました。
病院で簡易な検査をしましたが、脳や血管には異常は見られませんでした。
しかし、自分がなぜ病院にいて検査をうけているのか理解できていない覚えていないようでした。
脳や血管に異常がないか、原因を特定するため精密検査を行うため緊急入院することになりました。
覚えていること、覚えていないこと
私と知人は、記憶を失った次の日に会う予定になっていました。
会う約束をしたのは２週間前でした。
入院することが決まった後「明日、会う約束をしているけれどどうしよう？」と知人は奥さんに話していたようです。
２週間前に約束した翌日の予定はしっかり覚えていたことになります。
また、自分の名前、職業、住んでいる場所、家族構成も当たり前のように答えていました。
しかし、子どもが就職していること、大学に進学していること、直近２～３年の出来事を覚えていませんでした。
また記憶を失った当日の出来事は何一つおぼえていませんでした。
新しい出来事が起きてもすぐに頭の中から消えてしまっていたのです。
入院後は知人と奥さんはＬＩＮＥでやりとりをしていましたが、トーク履歴を見ても、やりとりをしていたことを全く理解できなかったようです。
検査の結果
入院して精密検査をうけましたが脳や血管に異常はみられず原因は分かりませんでした。
記憶の失った翌日には「何も覚えていない」状態ではなくなり、しっかり記憶できているようでした。
子どもたちが就職していること、大学進学していることは思い出しましたが、記憶を失った当日のことだけは思い出せないようでした。
入院から５日後には退院し、退院の翌日から仕事復帰しました。
一過性全健忘
病院は原因不明という診断でしたが、調べていく中で、今回の状況に非常に当てはまるものがありました。
一過性全健忘（TGA）
一過性全健忘とは頭の外傷を原因とせずに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態をいう。自分や家族の名前、職業、年齢などは覚えているが、今自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなることが主な症状。発症している間は、自分がしていることを記憶することもできない。
ドクターズ・ファイル より
一過性全健忘とは、
健忘の原因が発生した以降の出来事や、ときにそれ以前の出来事の記憶が、一時的に突然失われる障害です。
ＭＳＤマニュアル家庭版 より
奥さんにホームページを見ながら症状について確認しましたが、ほとんどの項目で当てはまりました。
知人は５０代の男性、コロナの影響で厳しい経営状況で精神的なストレス抱えており、記憶を失う直前・熱い温泉につかっていました。
自分の名前や職業などはハッキリ答えられましたが、記憶を失ってからは新しく記憶をできませんでした。
そして、２４時間後には症状が落ち着いていました。
一過性全健忘、多くの精神的・肉体的ストレスを抱える現代社会において、誰しも発症しうるのかもしれません。
