職員の死亡退職、給与・賞与、共済掛金、年末調整の取り扱いは?|国家公務員 キャリアガイド

私は2007年の近畿地区の国家公務員一般職試験(当時のⅡ種試験)に合格し、同年10月から出先機関で働くことになりました。

2016年3月に自己都合退職するまでの8年半の公務員生活を記事にまとめました。

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人事課の中でやりたくなかった業務

人事異動事務が一段落した5月中旬。

闘病中の上司が亡くなりました。

 

3月中旬までは仕事にきていましたが、人事異動関係の決裁書類を持っていくとグッタリと机に座っている姿を目にしました。

 

そこから病気療養のため病気休暇に入りましたが、職場復帰はもちろん、退院することもできず、帰らぬ人となりました。

 

厚生係も含めて人事課に配属されて2年が経ちましたが、やりたくなかった「職員の死亡に関する事務」を行うことになりました。



給与の取扱い

上司が亡くなった5月は給与計算後のことでした。

 

通常、月の途中で離職すると日割計算します。

職員が死亡した場合も同様に日割計算しなければいけないのか?

 

答えは「日割計算の必要はない」です。

一般職の職員の給与に関する法律 第九条の二 第3項

職員が死亡したときは、その月まで俸給を支給する。

その月まで支給できるので日割計算の必要がありません。

遺族の方に「亡くなったから給与を返納してください」という非情な通告をしなくていいわけです。

 

徴収済の共済掛金は?

給与から徴収した共済掛金は遺族に返還します。

 

共済掛金は月末に組合員である場合、徴収することになります。

5月中旬に亡くなり共済組合員の資格を喪失し、5月末は共済組合員ではないので5月分の共済掛金を徴収する必要はありません。

 

既に徴収した共済掛金は共済組合から全額返還します。

遺族の代表者を指定してもらい、代表者の口座に振り込みます。

 

源泉徴収票の発行

本来であれば給与所得者が死亡した場合、最後に支給される給与で年末調整をする必要があります。

既に最後に支給される給与が支給された後となるため、年末調整を行えませんでした。

 

給与収入、共済掛金(返還した掛金は合計しない)、源泉徴収税額を集計し、源泉徴収票を発行し遺族に交付しました。

 

遺族の方が源泉徴収票を税務署に持っていき準確定申告を行います。

 

賞与はどうなる?

5月中旬に亡くなった場合でも6月賞与が支給されます。

 

国家公務員の6月賞与の支給基準日は6月1日となります。

支給基準日1か月以内に離職・死亡の場合は賞与が支給されることになります。

 

賞与は亡くなった後に支給確定するため、職員の給与所得ではなく、相続財産となります。

賞与も遺族の代表者を指定してもらい、代表者の口座に振り込みます。

 

死亡退職金の支給

まずは死亡退職金を受け取る遺族の代表者を決めてもらい、遺族全員の同意書を準備してもらいます。

 

死亡退職金の支給率

国家公務員在職中に公務に関係しない傷病で死亡した場合、定年退職のときと同等の退職金を受け取ることができます。

 

亡くなった職員は勤続年数35年でした。

 

  • 自己都合退職した場合、支給率39.7575
  • 公務に関係しない傷病が原因で退職した場合、支給率39.7575
  • 公務に関係しない傷病が原因で死亡退職した場合、支給率47.709

 

自己都合退職や公務に関係しない傷病が原因で退職した場合に比べて、支給率が7.9515高くなります。

 

なお、公務が原因で死亡した場合の支給率47.709で同率です。

勤続年数25年に満たない場合は「公務が原因で死亡した場合」が最も支給率が高くなります。

 

死亡退職金に関する税

通常の退職金は、退職所得となります。

一定額を超えた場合、所得税・住民税が源泉徴収されて、退職から1か月以内に振り込まれます。

 

一方、死亡退職金は、みなし相続財産となります。

 

「500万円×法定相続人の数」を超える死亡退職金が支給された場合は、その超えた額をその他の相続財産と合算して相続税の計算をします。

「500万円×法定相続人の数」を超えたとしても源泉徴収はされず、1~2か月以内に遺族代表者の口座に満額振り込まれます。



 

共済組合員の死亡に伴う共済組合の事務

当時、共済組合は担当ではありませんでした。

 

職員の死亡に関する共済組合の事務としては次のものがあります。

 

  • 共済組合員証の回収
  • 埋葬料や高額療養付加金の支払案内
  • 共済貯金の解約
  • 永年勤続表彰の記念品の交付(通常であれば旅行券ですが、職員死亡の場合は商品券)

 

身分証明書はどうする?

職員が亡くなって1ヵ月が経った頃、奥様が職場にやってきました。

職員の机やロッカーに入っている私物を引き上げるためです。

 

机の引き出しからは恥ずかしい写真が出てきて盛り上がっていました。

 

数々の思い出の品の中に顔写真入りの身分証明書がありました。

組織外への異動、退職の場合は、身分証明書は返却しなければいけません。

 

返却した身分証明書は一定期間保管した後、廃棄処分の決裁をとりシュレッダーで裁断処分します。

 

身分証明書の写真を見ながら寂しそうな顔をしている奥様をみて、人事課長が「持って帰ってください」と声をかけました。

少し涙ぐんだ顔で嬉しそうに御礼をしていました。

 

奥様が帰った後「廃棄処分の決裁とるときリストにあげといてね」人事課長が私に伝えました。

 

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