「源泉徴収ありの特定口座」住民税だけ申告不要にするメリット・手続きの方法を実体験を交えて解説!
平成29年度税制改正により、「上場株式等の配当所得等及び譲渡所得等について」平成29年4月1日から所得税と個人住民税(市民税・県民税)で異なる課税方式を選択できることが明確化されました。
平成29年の所得税の確定申告+平成30年の市県民税の申告をしたときの体験談をまとめました。
今回の記事は次の内容です。
- 住民税だけ申告不要にするメリット・手続きの方法
- 住民税も申告した方がよいレアケース
▼ 前編(所得税編)
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住民税は申告不要を選択した方がよい理由とは?
特定口座内の取引の利益について、住民税5%が源泉徴収されます。
「配当をもらったときの利益」「株が値上がりして儲けた利益」それぞれ申告した場合どうなるか?まとめました。
配当をもらったときの利益
「配当をもらったときの利益」を申告する方法として、給与所得など他の所得と合算して税額を計算する方法、合算せず配当をもらったときの利益のみ個別で計算する方法があります。
給与所得など他の所得と合算して税額を計算する方法にした場合、基本的に利益に対して10%の住民税を払わなければなりません。
5%は源泉徴収されているので、残り5%を追加納税しなければなりません。
合算せず配当をもらったときの利益のみ個別で計算する方法にした場合、利益に対して5%が課税されます。
5%は源泉徴収されているので、追加納税されることはありません。
株が値上がりして儲けた利益
「株が値上がりして儲けた利益」を申告した場合、利益に対して5%が課税されます。
5%は源泉徴収されているので、追加納税されることはありません。
住民税のみ申告不要を選択するために必要な手続きは?
- 所得税 → 申告
- 住民税 → 申告不要
上記の選択する場合、所得税の確定申告以外にも手続きが必要となります。
住民税を支払う自治体に、市町村民税の申告書を提出する必要があります。
市県民税の申告書の記載方法の一例
私が問い合わせた市では次のように言われました。
「市県民税の申告書に【特定口座取引の申告はしない】と一筆書けば、細かな数字の記入はいらないです」
各自治体で取り扱いが違うと思いますので、問い合わせした方がよいでしょう。
市町村民税の申告書の提出期限は?
提出期限は「納税通知書が送達される日まで」です。
納税通知書は早ければ5月の頭に送達されます。
遅くとも4月中旬、できれば3月中に提出しましょう。
住民税も申告するといいケースとは?
このように住民税は基本的に申告する必要はありません。
私は住民税も申告した方がいいケースに当てはまりました。
所得がかなり低いケース
- 会社で社会保険加入。
- 住民税は均等割のみ。
均等割は、その名の通り、対象となる住民全員に同じ金額が課されています。
自治体により異なりますが、5,000~6,000円です。
均等割だけを払えばいいのに、特定口座取引で住民税が源泉徴収されると、源泉徴収の分だけ払い過ぎになります。
源泉徴収(配当割額・株式等譲渡所得割額控除)の分だけ、6月からの課される住民税が安くなります。
均等割だけの人が特定口座取引で住民税が源泉徴収されているケースの具体例
均等割が5,000円。
配当10,000円に対し所得税1,531円、住民税500円が源泉徴収され7,969円は振り込まれている。
均等割5,000円から源泉徴収された500円が差し引かれ、4,500円を納税すればよいことになります。
さらにレアなケース
上記のケース以外でも、住民税も申告した方がよい可能性があります。
- 所得税で住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)をつかっても所得税を還付しきれず、住民税の借入金等特別控除で所得割が控除され、
- 特定口座内の利益について住民税も申告することで配当割額・株式等譲渡所得割額控除が発生し、
- 住民税の借入金等特別控除後の所得割額よりも配当割額・株式等譲渡所得割額控除が上回っている場合
一応書きましたが、住民税の予測税額を計算してくれるシステムなどを使わなければ確認は困難です。
複数の特定口座を持っていて、A口座を申告して、B口座を申告しないこともできる
複数の特定口座を持っていて、A口座は住民税も申告して、B口座は住民税は申告しない
という選択をした場合、最も有利な申告になるお客様がいらっしゃいました。
住民税の予測税額を計算してくれるシステムを駆使して導き出しました。
その場合は自治体に提出する申告書は細かな数字を記入する必要があります。
特定口座取引に関係する確定申告のまとめ
- 年収600万以下のサラリーマンなら所得税の確定申告をすることで源泉徴収された所得税が戻ってくる可能性がある。
- 年収420万以下のサラリーマンなら、戻ってくる所得税は大きくなる。
- 均等割しか払っていないケースを除けば、住民税の申告をする必要は低い。
- 所得税を申告して、住民税を申告しない場合は、所得税の確定申告書に加えて、住んでいる自治体に別途申告書を提出する必要がある。
- 確定申告するかしないかは、所得税の戻ってくる税額をみて考える。
根拠となる資料
平成29年度税制改正の大綱(平成28年12月22日閣議決定)
*25ページに記載があります
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