私は2007年の近畿地区の国家公務員一般職試験(当時のⅡ種試験)に合格し、同年10月から出先機関で働くことになりました。
2016年3月に自己都合退職するまでの8年半の公務員生活を記事にまとめました。
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給与計算 総支給額を固める
2ヶ月目の給与計算は前任の力を借りず一人で行いました。
給与計算は、まずは総支給額を固める必要があります。
俸給・諸手当に変更がないか確認
- 定期昇給や昇格発令があった場合は「俸給」「管理職手当」
- 子どもが生まれるなど扶養親族に変更があった場合は「扶養手当」
- 引っ越しがあった場合は「住居手当」「通勤手当」
といったようにそれぞれ変更があった場合は、給与システムに変更後の情報を入力します。
5月の給与計算は変更がほとんどなかったので4月のデータをそのまま活用できました。
各課等の勤務時間報告書
超過勤務手当、特殊勤務手当など勤務状況に基づき支給される手当は、各課等から提出される勤務時間報告書をもとに計算します。
勤務時間報告書は、1か月間の時間外労働・欠勤等の時間数、特殊勤務の回数を報告してもらう書類です。
時間外労働の時間数から超過勤務手当、特殊勤務の回数から特殊勤務手当の額を計算しました。
欠勤があると俸給から減額されますが、欠勤となる職員はほとんどいませんでした。
勤務時間報告書 締め切り
勤務時間報告書の各課等の締切日は毎月最初の営業日中でした。
報告書の担当者が不在のケースもあるため、翌営業日の午前中が最終リミットでした。
翌営業日の午前11時を過ぎると未提出の課等に督促の電話をします。
「今月の残業代間に合わないですよ!」と脅すとお昼までには必ず提出してくれます。
総支給額を確定させる
- 「俸給」「扶養手当」といった固定給
- 「超過勤務手当」「特殊勤務手当」といった変動給
固定給・変動給を計算すると総支給額がほぼほぼ確定します。
- 「減給」の懲戒処分
- 月の途中で転入出する職員の「日割計算」
などイレギュラーな計算を終えると総支給額が確定されます。
職員一人一人の俸給・諸手当・総支給額の一覧表、会計・庁舎別の合計表を完成させます。
本省と会計課に提出する書類を作成
総支給額が確定すると本省と会計課に提出する書類を作成します。
本省に提出する書類
一般会計・特別会計別の俸給・手当ごとの支給額、翌月の支給見込額、人員数を報告します。
会計課に提出する書類
一般会計・特別会計別、本庁舎・支局・期間業務職員別、の俸給・手当ごとの予算要求の書類です。
この予算要求の書類をもとに会計課が本省の会計課に予算要求を行い、本省からお金が振り込まれます。
一般会計
本庁舎、一般会計の支局A、一般会計の支局B、一般会計の期間業務職員
特別会計
本庁舎、特別会計の支局A、特別会計の支局B、特別会計の期間業務職員
職員のお給料は、お給料を出すお財布が細かく分類されています。
お財布のお金を自由に動かすことはできないので、それぞれ正確な数字が求められます。
決裁をとる
本省と会計課に提出書類を作成し終えると、人事課内での決裁の準備をします。
先に作った「職員一人一人の俸給・諸手当・総支給額の一覧表、会計・庁舎別の合計表」と「本省と会計に提出書類」の値が一致しているか再チェックをします。
再チェックを終えると決裁文書を作って、上司にまわします。
決裁がおりると、本省に報告書をメールし、会計課に予算要求の書類を紙で提出します。
ゴールデンウイークに休日出勤しなかったので、締切と闘いながら10時近くまで残業し、締切日になんとか提出しました。
この時点で給与計算はようやく折り返し地点です。
給与控除・支給額を固める
給与総支給額が定まると、すぐに給与支払(給与控除・支給額)の計算に入りました。
給与控除の資料収集
共済組合の担当者から、控除する共済掛金、共済貯金・積立年金・財形貯蓄、共済貸付の総額に関する資料を提出してもらいました。
共済掛金
標準報酬改定や共済掛金率に変更があった場合は、改定対象者や掛金率を教えてもらい、システムに反映させます。
共済貯金・積立年金・財形貯蓄
加入・解約などで控除額に変更がある場合は該当者を教えてもらい、システムに反映させます。
共済貸付
毎月利息の額が違うので、共済組合のシステムから控除データを抽出してもらい、システムに取り込みました。
その他控除
- 宿舎入居者の宿舎・駐車場
- 期間業務職員や再任用職員の社会保険料・雇用保険料
給与控除に関する職員別の一覧表を提出してもらい、変更がある場合はシステムに反映させました。
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自分で資料を作成し、システムに反映させる
源泉所得税の納付書
各職員の源泉徴収税額について、給与システムとエクセルの両方で計算し一致させました。
エクセルで源泉所得税の納付書に転記する数字を集計して、源泉所得税の納付書に納税額を記入しました。
住民税の特別徴収
各職員から給与天引きした住民税について、市区町村ごとの納付書と納付一覧表を作成しました。
国の官署なので北は北海道から南は沖縄まで、バラエティに富んだ市区町村に納税していました。
人事異動で納付先が増えるたびに、特別徴収の指定番号と指定金融機関を確認するのが大変でした。
住民税の切り替えがある6月給与は全職員データを登録しなければならず大変でした。
差し押さえ給与
離婚調停でもめて裁判所から給与を差し押さえられている職員がいたので、差し押さえ額を計算し、裁判所へ報告・振込しました。
銀行口座と振込金額
以上の給与控除額を計算し、残りが振込金額になります。
採用・転入時に指定してもらった銀行口座と振込金額の一覧表を作成します。
一覧表は金融機関ごとに支店コード順・口座番号の若い順に並べるというルールがありました。
給与支払の集計表を作成
給与控除額と振込金額を計算し終えると、会計別・所属所別に給与支払の集計表を作成しました。
今まで計算した共済掛金・貯金・貸付・税金・振込金額などの会計別・庁舎別に合計を集計し、集計表にまとめました。
給与明細書を作成
給与システムで給与明細書を作成しました。
職員ごとの明細書、会計別・所属所別の合計が打ち出されます。
給与支払の集計表と給与システムで作成した給与明細の合計の数字が一致しているか確認します。
決裁をとる
数字が一致していることがチェックできたら決済文書を作成し決裁をとります。
給与明細書・給与支払の集計表・作成資料のセットにして上司に確認してもらいます。
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会計課に資料を提出
決裁を終えると、給与明細・給与支払の集計表・作成資料を会計課に提出します。
給与明細書の各所属所合計のページに人事課長の確認印を押してもらいます。
総支給額の計算と同時進行で行いますが、総支給額の集計表を提出してから、給与支払の集計表を提出するまでの期間は2日以内でした。
職員に配布する給与明細書を作成
最後に職員に配布する給与明細書を作成します。
給与明細書はミシン目の入ったA4紙に印刷します。
1枚に4名分印刷でき、破らないように慎重にミシン目にそって切っていきました。
給与明細はペラペラです。
名前だけ見えて中身が見えないように折りますが「個人情報が漏洩するだろ!」という指摘をうけて、給与明細を封筒に入れることになりました。
封筒の表面には職員氏名のゴム印を押しています。
封筒に入れると「こんな邪魔くさいものいらない!」と怒られました。
給与明細を配布
給料日当日、封筒に入った給与明細を配布します。
各課の庶務担当者に配布し、庶務担当者から課員に配布してもらいました。
支局には給料日当日に給与明細が配布できるように前日までに郵送しました。
庶務担当者が各職員に給与明細を配布し終わったら、封筒を回収してもらいます。
これで給与事務は一段落となります。
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