市役所から「扶養状況のお尋ね」の郵便物が届いたら、どう対処する?|国家公務員 キャリアガイド

私は2007年の近畿地区の国家公務員一般職試験(当時のⅡ種試験)に合格し、同年10月から出先機関で働くことになりました。

 

2016年3月に自己都合退職するまでの8年半の公務員生活を記事にまとめました。

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市役所からの郵便物「扶養状況のお尋ね」

7月。とある市役所の市民税課から郵便物が届きました。

開封して中身を確認すると「扶養状況のお尋ね」という書類でした。

 

「扶養状況のお尋ね」の詳細は次のとおりでした。

「職員の母親が扶養親族である」給与支払報告が提出されていますが、母親は所得が多いので扶養親族には該当しないのではないのですか?

 

職員に事情を確認する

早速、お尋ねの対象職員に話を聞きに行きました。

 

「昨年の年末調整でお母様を扶養親族で申告していますが、市役所から所得が多いから扶養親族に該当しないのでは?というお尋ねが届いています。」

 

職員

「そういえば、母、確定申告していましたよ。賃料収入があるみたいです。」

 

「扶養状況のお尋ね」が届いた時点で覚悟はしていましたが、職員の一言を聞いて「完全アウト」と確信しました。

 

「お母様の確定申告書を確認してもらえますか?所得が多い場合は扶養親族として申告できません。」

 

職員

「どうなるのですか?」

 

「お母様を扶養親族で申告できない場合、年末調整をやり直して所得税が追加徴収されます。現在給与天引きされている住民税の額も増えてしまいます。」

 

職員

「扶養手当はどうなるのですか?」

 

「扶養手当は所得税や住民税と基準が違いますが、昨年の収入状況次第では認定取消になります。

遡って取り消しになるので扶養手当や扶養手当を計算基礎にしている手当を返金してもらわなければいけません。」

 

職員

「分かりました。本日帰ったら母に確認してみます。」

 

確定申告書で収入・所得状況を確認

翌日、職員が確定申告書の写しをもって人事課にやってきました。

 

確定申告書を確認すると、所得税・住民税の所得基準だけでなく、扶養手当・共済組合の被扶養者の認定基準も超過していました。

 

「完全アウトですね。扶養手当だけでも10万以上の返金になります。」

 

職員

「そうなんですか・・・でもなんで扶養認定されたのですかね?」

 

この職員は他局からの異動直前に扶養手当の支給認定、共済組合の被扶養者認定を受けていました。

認定の経緯は他局に聞く必要がありました。

 

異動元に扶養認定の経緯を確認

その局は、間違った異動連絡票を送ってきたことが一因で誤った給与計算をしてしまい高額の給与・賞与を返金させることになった職員の異動元と同じでした。

イヤな予感を抱きつつ電話しました。

 

異動元の担当者

「家賃収入があるなんて聞いてないですよ。」

 

間違いなく調査不足だな、一度ならず二度も足を引っ張られた。

怒りがこみ上げてきました。

 

再び職員のデスクに行きました。

 

「家賃収入の件を話していなかったみたいですね」

 

職員

「給料と年金が分かれば大丈夫って言ってのですが・・・」

 

「そうだったのですね。認定するときに、他に収入がないか確認していればこんなことにならなかったのですが。

すみませんが、税金も手当も共済組合も扶養には入れないので、返金してもらいます。

具体的な金額は資料を作ってきます。」

 

職員

「分かりました。私もきちんと確認しなかったのが悪いんですもんね」

 

「不運が重なってしまいましたね」

 

今回の返金は私のミスではなかったのですが、しょんぼりした職員を見ると辛い気持ちになりました。

 

全ての扶養の認定取消

市役所の市民税課から「扶養状況のお尋ね」という書類が届きました。

お尋ねの対象職員に話を聞くと、家賃収入を含めると全ての扶養の認定を取り消す必要がありました。

  • 扶養手当の扶養親族
  • 所得税・住民税の扶養親族
  • 共済組合の被扶養者

 

扶養手当の扶養親族

扶養手当を支給していましたが、認定当初に遡って取り消すことになりました。

 

遡って取り消す期間は20ヵ月分。

 

扶養手当だけでなく扶養手当を計算基礎とする地域手当・期末手当も再計算し、返金してもらうことになりました。

 

前年度分の返金は納入告知書、本年度分の返金は給与調整

返金してもらう各手当は前年度12ヵ月分と本年度6ヵ月分がありました

 

本人は返金分の全てを給与調整することを希望していました。

 

しかし、前年度分は会計課に納入告知書の発行を依頼し告知書で返金してもらわなければなりませんでした。

支払う給与と返金する各手当の年度が異なるからです。年度が違うと返してもらう口座が変わってくるのです。

 

本年度6か月分は本人の希望どおり給与調整して、返金してもらいました。

 

所得税・住民税の扶養親族

年末調整のやり直し

前年の年末調整でお母さんを扶養親族で申告しているため、扶養親族から外して再度年末調整を行いました。

 

この年末調整のやり直しは、扶養手当などの返金を加味して行いました。

 

受けられなくなった扶養控除額(所得増)> 扶養手当などの返金額(所得減)

 

年末調整のやり直しの結果、所得税を追加徴収することになりました。

所得税は給与天引きして、税務署に納付しました。

 

管轄税務署に法定調書の再提出

年末調整のやり直しをしたので、税務署に提出した法定調書合計表を再提出する必要がありました。

 

訂正後の法定調書合計表を提出すればよいと思っていましたが違いました。

 

既に提出した法定調書合計表を取り消す書類を提出して、その上で訂正後の法定調書合計表を提出する必要がありました。

 

職員が居住する市に給与支払報告書を再提出

「扶養状況のお尋ね」を郵送してきた職員が居住する市の市民税課に、年末調整のやり直しを反映した給与支払報告書を提出しました。

 

「扶養状況のお尋ね」に対して「年末調整のやり直しを行った」と回答した書類もあわせて提出しました。

 

給与支払報告書の提出後、2週間ほどで給与天引きする住民税の再決定通知が、市から郵送されました。

再決定通知に従い翌月給与から住民税の天引き額を変更しました。



共済組合の被扶養者

共済組合の被扶養者として病院に通院していました。

保険者である共済組合が負担していた7割の医療費を返金してもらいました。

 

返金してもらった7割の医療費は国民健康保険に遡って加入することで国民健康保険に請求することができます。

その場合、加入時点まで国民健康保険料を支払う必要があります。

 

扶養に入れる判断は慎重に行う必要がある

給与・賞与の返金、所得税・住民税の追徴、医療費の返金。

 

扶養に入れる判断を誤り、とんでもない額を一気に払う事態になってしまいました。

 

全てが終わった後、職員は「高い授業料になりましたがスッキリしました」と言っていたのがせめてもの救いでした。

 

扶養に入れるときは認定担当者も職員もしっかりと資料を集めて慎重な判断を行う必要があることを思い知らされた出来事でした。

 

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