4月大型人事異動にむけて「トロッコ」「異動連絡票」人事当局の動き|国家公務員 キャリアガイド
私は2007年の近畿地区の国家公務員一般職試験(当時のⅡ種試験)に合格し、同年10月から出先機関で働くことになりました。
2016年3月に自己都合退職するまでの8年半の公務員生活を記事にまとめました。
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4月の大型人事異動に向けた人事当局の動き
年始を迎えると4月の大型人事異動に向けて人事当局が動き出します。
人事課長とその上司の総務部長の2人で、地方出先機関採用のプロパー職員の人事異動案を練ります。
この人事異動案の参考にするのが身上調書です。
総務部長と人事課長の本省出張・打ち合わせ
人事異動案ができると、1月中旬頃に総務部長・人事課長が東京に出張します。
本省で人事異動案について打ち合わせをするためです。
この本省での打ち合わせで本省採用等の職員で地方出先機関へ出向する職員の人事異動についても話し合われます。
プロパー職員・出向職員を合わせた人事異動案が完成します。
人事課員だからと言ってすぐに人事異動情報はもらえない
東京出張から戻ってきた人事課長はすぐに人事異動情報を教えてくれるわけではありません。
いつもは気さくに話しかけてくれる人事課長も白々しい態度をとっていました。
係員の私が人事異動情報を教えてもらったのは1月下旬のことでした。
人事異動の流れが一目でわかる図表「トロッコ」
人事異動情報は人事異動対象の職員と部署が一目見れば分かるトロッコと呼ばれる図で知ることができました。
トロッコ電車のように連なっていることからトロッコと呼ばれていました。
図1のケース
- 「a課b係長」の【A】さんが令和〇年3月31日で自己都合退職
- 「a課b係長」の【A】さんの後任として、「c課d係員」の【B】さんが昇任して異動
- 「c課d係員」の【B】さんの後任として、「新規採用」の【C】さんが配属
図2のケース
- 「e課f係長」の【D】さんが令和〇年4月1日~令和〇年12月31日の期間、「育児休業」を取得
- 「e課f係長」の【D】さんの後任に、「育児休業」を取得していた【E】さんが育児休業から復帰
職場結婚した職員の人事異動事情
私がいた官署ではトロッコの前後に職場結婚した職員が並んでいることがよくありました。
旦那さんの後任が奥さん、奥さんの後任が旦那さん。と言った感じです。
こうすれば同じ部署に夫婦が配置されることはありません。
また人事異動の引継ぎがスムーズに行うことが可能(なはず)です。
私がいた官署は支局が多くなかったので、同じ庁舎の別の部署であればよかったようです。
支局がたくさんある官署になると同じ庁舎内には配置しないという話も聞いたことがあります。
異動連絡票の作成
4月の大型人事異動情報「トロッコ」を手に入れたのは1月末のことでした。
「トロッコ」をもとに人事異動の事務手続きをスタートします。
最初に着手するのは、異動連絡票の作成です。
異動連絡票とは、他官署に異動する職員の人事情報をまとめた書類のことです。
異動連絡票の人事情報
- 職員の住所・氏名・生年月日
- 異動元と異動先
- 適用される俸給表と級号俸
- 諸手当の支給状況
- 給与振込口座
- 扶養親族の現況
- 住民税の特別徴収額と納付市区町村
- 共済掛金の標準報酬月額
- 共済組合の貯金・年金・貸付の有無
- 財形貯蓄の有無
- 宿舎入居の有無
異動連絡票の作成方法
異動連絡票に記載する人事情報は「職員データ」というエクセルデータから転記していました。
職員データは人事情報に変更があった場合、その都度更新を行っているので異動連絡票は最新情報になっています。
しかし、更新し忘れてしまうこともあります。
そこで、他官署に異動する職員全員の異動連絡票を紙で打ち出して、人事課内で2周チェックをしました。
異動連絡票のメール送付
チェックを終えて最新情報となった異動連絡票を異動先の官署にメールで送付します。
メール送付は人事異動の1か月前を目途に行いました。
基本的には異動連絡票を送付は早ければ早いほど歓迎されますが、異動の2週間前まで送付しないでほしいという官署もありました。
官署によって、人事課内での人事異動情報解禁のタイミングが異なることが原因です。
こちらが異動連絡票を送付すると、送付した官署から転入してくる職員がいる場合は、異動連絡票を送付してくれます。
異動連絡票を早く送ってほしい官署には、コチラから早く送ってプレッシャーをかけていました(笑)
異動連絡票の書式がバラバラ
他官署から送付される異動連絡票ですが、書式がそれぞれ異なります。
人事情報は一通り記載されていますが、書式が違うので不足している情報が発生します。
その場合は、異動元に確認をしなければいけません。
本省に異動連絡票の書式を統一してもらうように要望しましたが、どの官署の異動連絡票を標準にするかで調整が難しいと話は進みませんでした。
人事情報のデータ更新
3月給与の支給事務を終えたら、4月の人事異動情報を反映したデータ更新をはじめます。
他官署から異動してくる職員は異動連絡票をもとにデータを入力していきます。
官署内で異動する職員は配属先を更新し、諸手当の額に変更がある場合は計算して入力してきます。
大まかなデータ更新は3月中には完了させます。
他官署から異動してくる職員の人事情報は異動連絡票で確認しますが、異動連絡票をみても解決できないことがいくつかありました。
給与振込先
給与振込先の人事情報は異動連絡票で確認できました。
しかし、前の官署の給与振込先であっても、今回も同じとは限りません。
また、人事院規則では「給与は原則現金支給しなければいけない」と定められています。
そのため、預金通帳への振込は職員本人からの申出があった場合に限られます。
しかし、給与振込口座申出書を異動前に提出してもらうのは時間的に困難です。
そこで、人事異動2週間前に内示があったら職員本人にメールして「給与振込口座に変更はないか」確認しました。
内示から1週間以内に、「変更なし」という返事をメールしてもらいました。
そして、異動してきてから給与振込口座申出書を提出してもらいました。
なお、新規採用職員は、入庁前に給与振込口座申出書を郵送してもらいました。
念のために銀行名・支店名・口座番号が確認できるページのコピーもつけてもらいました。
住民税の特別徴収を開始するために一苦労
国家公務員は、北は札幌から南は沖縄まで全国各地を異動します。
私の官署でも、給与から天引きされる住民税の納付先は50を超えていました。
住民税を給与天引きして納税するためには特別徴収義務者になる必要があります。
特別徴収義務者になるためには納税する市区町村に届出書を提出し、特別徴収義務者の指定番号を取得する必要があります。
具体的には、特別徴収に係る給与所得者異動届出書を提出します。
すぐには分からない特別徴収義務者の指定番号
届出書が提出されたら2週間程度で、市区町村から給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収税額の決定・変更通知書が送付されます。
この通知書に特別徴収義務者の指定番号が記載され、納税案内冊子に振込指定口座の案内があります。
2週間前の内示があったら直ちに届出書を提出すれば、給与計算の締切日までにスムースに納付書を準備することができます。
しかし、異動前の官署が届出書の提出が遅れてしまうと、通知書と納税案内冊子の到着を待っていては給与計算の締切日までに納付書を準備できません。
国家公務員も「役所のたらい回し」に遭います
異動前の官署に届出書をいつ郵送したか確認して、郵送から1週間後に市区町村の担当部署に指定番号と指定口座を電話確認しました。
ときには2,3部署をたらい回しにされることもあり、人事異動の繁忙期にイライラさせられました。
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